広告

この記事の要点

  • 外国人が賃貸契約で求められる書類は、日本人とほぼ同じ。違うのは在留カードと、住民票をいつ取れるかの2点。
  • 最大の障害は住所・銀行口座・住民票が互いを前提にする循環。来日直後はこの輪から抜け出せない。
  • 解決の順番は決まっている。住居を先に確保 → 転入届 → 住民票 → 銀行口座。逆順では詰まる。
  • 企業側が用意できるのは在職証明・雇用契約書・給与見込み。これがあると保証会社の審査は通りやすくなる。
  • この循環を回避する方法として、住民票や口座を要件にしない住居サービスを使う手がある。

求められる書類の一覧

まず全体像です。一般的な賃貸契約で提出を求められるものを、日本人の場合と並べます。

横にスクロールできます →

書類 日本人 外国人
本人確認書類 運転免許証など 在留カード(表裏とも)
住民票 必要 必要(来日後に取得)
収入証明 源泉徴収票・課税証明 同左。新規来日時は雇用契約書で代替
在職証明 求められることがある ほぼ必ず求められる
銀行口座 家賃引落用 同左
連帯保証人 親族 立てられないことが多い
緊急連絡先 親族 日本国内の連絡先を求められる

並べると分かるとおり、書類の種類そのものは大きく変わりません。問題は取得の順番です。

三すくみの構造

来日直後の人が必ずぶつかるのが次の循環です。

  • 住民票を取るには、住所を定めて市区町村に転入届を出す必要がある
  • 銀行口座を開くには、住所の記載された本人確認書類が要る
  • 賃貸契約には住民票と銀行口座を求められる

つまり、住むところが決まらないと住民票が取れず、住民票がないと口座が作れず、口座がないと部屋が借りられない。これが「書類が揃わないから入居できない」の正体です。

抜け道は1か所しかありません。住居を先に確保することです。順番を固定すると次のようになります。

  1. 住むところを決める(この時点では住民票・口座なしで契約できる先を選ぶ)
  2. 入居後14日以内に市区町村へ転入届を出す
  3. 在留カードの裏面に住所が記載される
  4. 住民票を取得する
  5. 銀行口座を開設する
  6. 必要なら、その後で一般の賃貸へ移る

企業の人事担当者が押さえておくべきなのは、この順番です。「まず口座を作らせよう」として手続きを始めると、必ず止まります。

14日ルール

住居地を定めてから14日以内に市区町村へ届け出る義務があります。届出を怠ると在留資格に影響しうるため、入社手続きのチェックリストに入れておいてください。

在留カードで確認すべき箇所

受け入れ側が見るべきポイントは限られています。

  • 在留期間の満了日。 契約期間との関係を確認します。満了日が近いと審査で不利になることがあります。
  • 在留資格。 就労可否と、家族帯同の可否に関わります。
  • 就労制限の有無。 「就労不可」の記載がある場合、資格外活動許可の確認が必要です。
  • 裏面の住所欄。 転居のたびに追記されます。空欄なら、まだ転入届を出していない状態です。

出入国在留管理庁は在留カードの有効性を確認できるオンラインの照会サービスを提供しています。番号と有効期限で照会できるため、受け入れ実務では使う価値があります。

住民票も口座もない段階で入居できる住まい

保証人不要・WEB完結。来日前から手続きを始められます。

条件を確認する

企業側が用意できる書類

保証会社の審査で効くのは、本人の属性より収入の安定性です。会社が出せる書類は次のとおりです。

書類 効果
雇用契約書の写し 収入額と雇用期間を示せる。新規来日者では源泉徴収票の代わりになる
在職証明書 実在性と勤続の証明。書式は会社側で用意する
給与見込証明 入社前で支給実績がない場合に有効
会社を緊急連絡先にする同意 日本国内の連絡先要件を満たせる

特に4つ目は見落とされがちです。「日本国内の緊急連絡先」を求められた際、身寄りのない本人には出せません。会社の総務担当者を登録することで、この要件を満たせる場合があります。社内の運用ルールを決めておくと、都度の判断が不要になります。

書類が揃うまでの受け皿を確保する

住民票や銀行口座がまだない段階でも入居できる住まいがあります。

入居条件を確認する

翻訳が必要になる書類

母国で発行された書類を提出する場面では、日本語訳を求められることがあります。婚姻証明や出生証明などです。

翻訳には公証を求められる場合と、翻訳者の署名だけで足りる場合があり、提出先によって基準が違います。時間がかかる手続きなので、必要になりそうなら早めに確認してください。来日後に「訳がないので受け付けられない」となると、母国に取り寄せから始めることになります。

よくある質問

パスポートだけで契約できますか。

中長期在留者の場合、本人確認は在留カードで行うのが原則です。パスポートは補助的な位置づけになります。

在留期間が1年しか残っていません。契約できますか。

契約自体は可能ですが、審査で不利になることがあります。更新見込みを示す資料——雇用契約が継続する旨の書面など——を添えると説明がしやすくなります。

会社を緊急連絡先にして問題ありませんか。

貸主側が認めれば可能です。ただし退職後の扱いを決めておかないと、連絡先が実質的に機能しなくなります。退職時に連絡先を変更する運用まで含めて設計してください。

住民票がなくても入居できる物件はありますか。

外国人入居を前提に設計された住居サービスでは、入居時に住民票を求めない運用をしているところがあります。来日直後の受け皿として使い、住民票と口座が揃ってから一般賃貸へ移るという段取りが取れます。

まとめ

外国人の賃貸契約でつまずくのは、書類の種類ではなく取得の順番です。住居を先に確保する——この一点さえ押さえれば、あとは順に埋まっていきます。

企業側は雇用契約書・在職証明・緊急連絡先という3つを用意できます。それでも一般賃貸の審査が通らない、あるいは入社日までに間に合わないという場合には、住民票や口座を前提としない住居サービスを最初の受け皿として使うのが実務的な解決策になります。

来日直後の受け皿として使える住居

家具家電付き・保証人不要。入居後に住民票と口座の手続きを進められます。

空室と費用を見る

手続きの要件は自治体・金融機関・貸主によって異なります。最新の取扱いは各窓口にご確認ください。

Recommended reading