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この記事の要点

  • 技能実習から特定技能への移行、または転職のタイミングで、寮という住まいの前提が突然なくなる
  • 本人にとってはこれが「日本で初めて自分で部屋を借りる」瞬間になる。数年住んでいても、賃貸の実務経験はゼロに近い。
  • ここで初期費用395,300円が現金で必要になることを、本人も受け入れ側も想定していないことが多い。
  • 受け入れ企業・登録支援機関には住居確保の支援義務があり、放置は制度上も問題になりうる。
  • 移行時期が読めるなら、3か月前から準備を始めるのが唯一の対策。

寮を出る瞬間に何が起きるか

技能実習生の多くは、監理団体や実習実施者が用意した寮に住みます。家賃は給与から控除され、家具も最初から揃っている。本人は物件を探したことも、契約書に署名したことも、保証会社の審査を受けたこともありません。

その状態で3年、あるいは5年が過ぎます。日本語は上達し、仕事にも慣れ、生活も安定している。ところが特定技能へ移行して転職したり、実習を終えて別の企業へ移ったりした瞬間、寮を出ることになります。

ここで本人が直面するのは、来日1日目の外国人とほぼ同じ壁です。連帯保証人がいない。日本での賃貸契約の実績がない。そして——初期費用の現金がない。

日本に何年も住んでいるのに、賃貸市場から見た属性は「新規来日者」とほとんど変わらない。この落差が、寮を出るタイミングの本質的な問題です。

初期費用という現実

家賃78,000円のワンルームを一般的な条件で契約した場合、契約時に必要な金額は次のとおりです。

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項目 金額
敷金 78,000円
礼金 78,000円
仲介手数料 85,800円
前家賃 78,000円
火災保険料 20,000円
鍵交換費用 16,500円
保証会社利用料 39,000円
合計 395,300円

これに加えて、家具と家電をゼロから買う必要があります。冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、寝具、カーテン、照明。中古で揃えても10万円前後は見込まなければなりません。

寮では全部備え付けだったものです。「部屋を借りる」とは家具も自分で用意することだと、経験がなければ想像がつきません。

送金しているケースが多い

技能実習生・特定技能外国人の多くは、収入の相当部分を母国へ送金しています。日本での貯蓄が想定より少ないことは珍しくありません。「数年働いたのだから40万円くらいある」という前提で計画を立てると、実際の移行時に破綻します。

受け入れ側の義務

特定技能では、受け入れ機関または登録支援機関が支援計画を作成し、その中に住居の確保に関する支援が含まれます。具体的には、住居探しの補助、保証人の確保に関する支援、社宅の提供といった形です。

ここを「本人に任せる」で済ませると、支援計画の履行という観点で問題になりうるだけでなく、実際問題として入居先が決まらず就業開始が遅れます。転職者の受け入れでは、住居が決まらないことが着任遅延の主要因になります。

準備は3か月前から

移行や転職の時期は、たいてい事前に分かります。逆算して動けば、大半の問題は防げます。

3か月前:資金と条件の確認

本人に対して、初期費用の概算と、現時点で用意できる金額を確認します。ここで不足が判明すれば、まだ手が打てます。あわせて、勤務先までの通勤時間、家賃の上限、単身か家族帯同かを整理します。

2か月前:選択肢を絞る

一般賃貸で行くのか、初期費用を抑えた住居サービスを使うのかを決めます。一般賃貸なら保証会社の事前審査に進みます。

1か月前:契約と手続き

契約、転居届、住所変更。在留カードの裏面記載の更新、勤務先変更の届出も同時期に発生します。まとめてチェックリスト化しておくと漏れません。

初期費用を抑えて移りたいとき

家具家電付き・保証人不要。寮を出たあとの受け皿として使えます。

費用と空室を確認する

選択肢を並べる

選択肢 初期費用 注意点
一般賃貸を本人契約 約395,300円+家具 保証会社の審査、保証人、現金の準備
会社の借り上げ社宅 会社負担 退職時に住まいも同時に失う
家具家電付きの住居サービス 3万〜5万円程度 エリアと年齢条件の制約がある
知人との同居 低い 契約上の又貸しに該当する場合がある

4つ目は現場でよく見かけますが、契約違反として退去を求められるリスクがあります。本人が制度を理解していないまま同居している例もあるため、受け入れ側から早めに説明しておくべき項目です。

移行までに時間がないとき

WEBで手続きが完結するため、退去日が迫っていても間に合う場合があります。

空室状況を見る

1年で見た費用の差

一般賃貸と、月額38,000円台から用意されている住居サービスを1年間で比べると次のようになります。

一般賃貸 住居サービス
初期費用 395,300円 50,000円
家具家電 別途購入 付属
1年目の総額 1,248,000円 506,000円
差額 742,000円

広さや立地は同条件ではないため、単純な優劣ではありません。ただし移行直後の資金が限られている状況では、この差が「移れるかどうか」を分けます。

よくある質問

寮を出るまでに退去日が迫っています。間に合いますか。

一般賃貸は審査と契約で2週間から1か月を見る必要があります。日数がない場合は、WEBで手続きが完結する住居サービスのほうが現実的です。

転職と同時に引っ越すと、届出は何が必要ですか。

市区町村への転出・転入届、在留カードの住居地変更、そして出入国在留管理庁への所属機関変更の届出が必要になります。期限があるものが含まれるため、まとめて確認してください。

会社が初期費用を立て替える場合、注意点はありますか。

給与から控除する形にするなら、賃金の全額払いの原則との関係で労使協定などの手当てが要ることがあります。運用を決める前に社会保険労務士へご確認ください。

年齢の制限があるサービスがあると聞きました。

入居対象を18歳から49歳までとしているサービスがあります。対象年齢を外れる場合は使えないため、事前に条件を確認してください。

まとめ

寮を出るタイミングは、本人にとって「日本での初めての賃貸契約」です。何年住んでいても経験はありません。そして初期費用として40万円近い現金が必要になることを、本人も受け入れ側も直前まで気づかないことが多い。

対策は準備の前倒しだけです。移行の3か月前に資金と条件を確認し、2か月前に方式を決め、1か月前に契約する。この段取りを踏めば、着任日に住む場所がないという事態は避けられます。

移行時の住まいを早めに押さえる

WEBで相談でき、拠点間の移動にも対応しています。

詳細を確認する

制度の要件は改正されることがあります。最新の取扱いは出入国在留管理庁および所管窓口の情報をご確認ください。

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